札幌東雁来 黒龍山 東照寺

〒007-0820
札幌市東区東雁来町358-67

真宗三門徒派

第87号 令和6年3月

『お見舞い申し上げます』


令和六年、能登半島地震により被災された方々には心よりお見舞い申し上げますとともに、一日でも早く日常の生活がお戻りになられますことをお念じ申し上げます。
 いうまでもなく、天災が日を選ぶことはない、と思っていても、まさか元日早々に、あのような巨大地震が北陸を襲うとは夢にも思いませんでした。
恐らく皆さまもテレビ・ラジオに釘付けになっていたことでしょう。
また、休む間もない余震の連続、被災者の方々には筆舌に尽くしがたい不安と悲しみであったろうと思います。
被災者の方々には筆舌に尽くしがたい不安と悲しみであったろうと思います。
 周知の通り、私たち真宗三門徒派本山専照寺は、福井市にあります。
今回の地震では、灯篭や仏具が倒れたりといった被害はありましたが、大事には至りませんでした。
しかしながら、あの大きな木造建築の本堂が、龍の如くうごめいていたそうです。
そう考えると、能登半島の地震の揺れは、想像を絶するものだと思います。(地震のエネルギーは阪神淡路大震災の2倍だそうです)
 遠方に住む者にとっては、為す術もなくその全容にただ傍観しているだけで、人間の無力さを知らされるだけです。
 特に輪島を襲った広大な火災は、まるで空襲を受けたかのように焼け焦げて跡形もなくなっていました。
その光景を見て、阪神淡路大震災の時の神戸市長田区の大火災を思い出しました。
当時私は、まだ学生で京都にいました。亡き歌手の「桑名正博」さんの声掛けで、神戸市で一週間泊りがけで、救援物資を運ぶお手伝いをさせて頂きました。
 「アンタだけでも逃げなさい! 私のことはもういいから!」
 「何言ってんねん!かあさんだけおいてくわけには行かんやろ!私もここに残る!」
とがれきに足を挟まれた身動きできなくなっている義母に、迫りくる火災。嫁に逃げなさいと催促するが、その嫁も一緒に死ぬ決心をしました。しかし寸前のところで火災が収まって二人とも一命を取り留めました。
当時私が、避難所で出会った方から聞いたお話です。
 繰り返される自然の猛威を前にすると、何ができるだろうと、ますます自分の非力さを実感しますが、ただただ、人と人との「紡ぎあう気持ち、小さな助け愛」の連続しかないと思います。

合掌

令和六年三月  東照寺第五世住職 釋 巧照