「思行持(しぎょうじ)」
本年も寺族一同宜しくお願い申し上げます。
過ぎてしまえば令和も六年目に突入いたしました。心新たに今年の目標を掲げるとともに、継続することの難しさを実感する今日この頃です。
「~しよう!」と思うことは簡単です。
けれどもそれを「実行しよう!」とすることは難しいことです。
さらに、それを「継続していく!」ことはもっと難しいことです。
仏教ではこれを「思・行・持」の三則と申します。
思うこと・行うこと・維持(継続)することは別々のことで、甘い考えでは到底成し遂げることはできない、という厳しい言葉なのです。
仏教修業は厳しく修行中の僧侶は、仏道を学ぶために、食事、就寝、入浴、掃除など、すべての生活において作法があります。
時には外界からの情報をシャットアウトする為にシマホの使用まで許されません。そのために中途半端な気持ちで仏道修行を始めた人は直ぐに辞めてしまいます。
だから「三日坊主」という言葉が生まれました。
ですが「思うこと・実行すること・継続すること」の難しさを理解するのとしないのとでは、私たちの生活は全然違うものになります。
「お正月には、お仏壇に特別に用意するものはありますか?」とよく聞かれます。
真宗門徒にとりましては、お正月だからといって特段、普段以上のものを用意することはありませんが、お花、お供物をちょっと良いものにし、お鏡餅をお供えし、お供え後はそのお供物やお餅を感謝の気持ちで頂くことです。
それよりも大事なことは、お仏壇をきれいにして新年を迎えることです。
先人は言いました、お仏壇は「心の表れ」であると…。
お仏壇を綺麗にしていくことは、自分の心を綺麗にしていくこと。
誇りがたまっていたら、「こんなに誇りがたまって!」と文句を言うのではなく、「今年一年、お世話になりました。来年もまた、家族の中心にいて下さい。」と頭を下げるつもりできれいにしていくことが大切です。
そうすることで、気持ちの良い新年を迎えることができるでしょう。
さらに、思っていても、なかなか、成し遂げることのできない三日坊主の私たちに「阿弥陀如来」はプレゼントをくださいました。
それは「なむあみだぶつ」とおお念仏申すことです。
これは、いつでも、どこでも、だれにでもできることです。
そうすることで、阿弥陀如来の光明の中に包まれる一年を今年も送ることができます。
合掌
令和六年三月 東照寺第五世住職 釋 巧照